【アイうたBD発売アドカレ】タターン! AIやロボットが登場するマンガを紹介します♪ その2 #アイの歌声を聴かせて
『アイの歌声を聴かせて』Blu-ray&DVD発売アドベントカレンダーの26日目です。前回のその1に続いて「AIやロボットが登場するマンガ」をテーマに、今回は第2弾として『W-face』『ディメンションW』『きみと世界の終りを訪ねて』の3作品を紹介します。
その前に宣伝です。アドカレ8日目にアヤの誕生日を祝してアヤとマユミのSSを書いているのでよろしくね♪ また、これまでに作ったアイうた関連記事のインデックスはこちら♪
『W-face(ウッドゥン・フェイス)』全2巻(ひのきいでろう/ワニブックス)
『W-face』は、未来の多国籍都市を舞台にサラリーマンの東出立(あずまいでたつ)とロボットであるレフィの関係を描いたマンガです。
物語は出立がレフィと出会う場面から始まります。出立はサラリーマンたちが月給と福利厚生を求めて(比喩ではなく物理的に)しのぎを削るその多国籍都市において日本企業に終身雇用が決まっている「純日本人」であるという設定にまず興味を惹かれますが、その出立が相手からたまたま奪ったカバンに入っていたのがロボットのレフィでした。
ここではレフィをロボットと書きましたが、レフィのボディは人体に移植する臓器を維持保存するための装置となっており、つまりレフィは人間と同じような人工の肉体を持っています。その肉体を制御するための電脳――ある意味仮初めの生命がレフィの正体というわけなんですね。なりゆきでレフィを預かることになってしまった出立とレフィは企業間の争いに巻き込まれたり、婚約者に襲われたりとさまざまな事件に巻き込まれながらも、時間をともにするうちにお互いを大切な存在とみなすようになります。プログラムをダウンロードして追加したり学習能力の高さを示したりとレフィのAIらしい側面を描きつつ、一方で人工の生命体であるレフィを通じて「生命とは何か」という命題に挑戦している本作は、単純なロボット物とは片付けられない面白さがあります。
ご興味のある方は是非読んでみてください! と言いたいところですが、2001年に発刊された本作は現在絶版になっていて、2022年7月時点では電子書籍もありません。そのため実物を入手することはなかなか難しいと思いますが、古書店を探し回ってでも一読の価値がありますので、ご興味のある方は是非探してみてください。
『ディメンションW』全16巻(岩原裕二/スクウェア・エニックス)
別次元からエネルギーを無尽蔵に取り出すことのできる「コイル」というアイテムによりエネルギー問題が解決された未来の世界で、「不正コイル」と呼ばれる違法なコイルの回収を生業とする「回収屋」のマブチ・キョーマと、ひょんなことからキョーマの相棒を務めることになった女性型アンドロイドのミラを描いたマンガがこの『ディメンションW』です。ミラが医療用アンドロイドとして作られた義体に宿るAI、という意味では、ミラは前述した『W-face』のレフィに近しいものがあります。極めて人体に近い義体で命を長らえるというのは人類が未来に託した夢なのかもしれません。
本作では、ミラは豊かな感情を持ち柔軟な思考のできる電子頭脳と人間離れした身体能力を発揮する義体を兼ね備えた非常に高性能なロボットとして描かれていますが、一方で相方のキョーマからは「ロボット」や「ポンコツ」と呼ばれ、厄介者扱いされています。その背景にはロボットや夢のエネルギーが実用化された輝かしい未来で、コイルを嫌うがゆえにそれらとは距離を置き、ガソリンエンジン車と古い家電に囲まれた前世紀のような生活を続けるキョーマの過去が絡んでいます。キョーマの下へ転がり込んだミラとキョーマが時にぶつかり合いながらもバディとして不正コイルの回収業務に当たり、やがてキョーマの過去に繋がる真相を追うようになる2人の姿は何度読んでも驚きと感動に満ちあふれています。
自分はアイうたの劇中でシオンがアヤに「ポンコツ」呼ばわりされたとき、真っ先に本作のミラを思い出しました。本作のミラもアイうたのシオンも古びた物や壊れた物を指す「ポンコツ」とは真逆の存在ですが、人はいずれ愛着を持つようになるAIロボットに対して最初のうちは憎まれ口を叩いてしまう生き物なのかもしれません。本作は単行本にして16冊と長めの物語になっていますが、次から次へと起こる事件に謎が謎を呼ぶ展開は読む者に長さを感じさせません。人とロボットのバディがいったいどのような物語を紡ぐのかは是非ご自分の目で確かめて見てください。
『きみと世界の終りを訪ねて』全1巻(こるせ/一迅社)
『きみと世界の終りを訪ねて』は崩壊後の世界で生きる少女たちを描いた連絡短編集です。百合マンガ専門誌「コミック百合姫」に1作目から3作目までが読み切りとして掲載され、単行本化される際に表題作であり完結編となる4作目が描き下ろしで追加されました。
自分が特に印象に残っているのは1作目である『再定義する希望』です。これを「コミック百合姫2021年4月号」で読んだときに以下のような感想をTwitterに残していました。
百合姫最新号の読み切り『再定義する希望』がとてもよかった。終末の世界を舞台に長い眠りから覚めた女性型アンドロイドとシェルターの生き残り少女がガラスを隔てて邂逅する物語で、なぜ生きるか?という重い命題を柔らかな筆致で描き切った傑作。読了後に題名を見返したときの高揚感と言ったらない。
— しーな (@sikatanaisi) February 18, 2021
ツイートに記載したとおり、『再定義する希望』には「ラリベルタ」という女性型アンドロイドが登場します。数百年のスリープを経て崩壊後の世界で再起動したラリベルタは、母親代わりのロボット(ラリベルタとは異なりケンタウロスのような形態でいかにもロボットという姿をしています)とともにシェルターで生き延びていた少女・スペランツァと出会います。ところが、スペランツァは有毒な空気が支配するシェルターの外には出られません。そこで、2人はシェルターのガラス越しに交流することになります。日々話をしたり手遊びをすることで仲を深めていく2人でしたが、やがてスペランツァがある願いを口にしたことで2人の物語は大きく動くことに……。
本作の舞台は今よりも技術が数段発達した未来のさらにその先の終末の世界ということでアイうたとは時間軸も世界観もかなり違いますが、それでもラリベルタとスペランツァの関係はシオンとサトミの関係に通じるものがあると自分は思いました。『再定義する希望』は一迅社のサイトにて無料で読むことができるので、「滅びの未来」や「百合」といった言葉が琴線に触れる向きの方は是非読んでみてください。
ということで、今回は今よりもだいぶ先の未来の世界で人型のAIロボットが登場するマンガを3作紹介しました。アイうたにちなんだマンガ紹介はこれでいったん一区切りとなりますが、またこのような機会があったら他の作品も紹介したいと思います。
さて、明日7/27はいよいよ『アイの歌声を聴かせて』Blu-ray&DVDの発売日です。アドカレも残すところ1日となりましたが、「最後にきっと、笑顔になれる。」とアイうたのキャッチコピーが言うとおり、アドカレ最終回とBD&DVD発売日を笑顔で迎えましょう! それではみなさま、よいアイうたライフを♪
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