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2016/05/08

「ヒロイン」の少女と「ヒロイン」になれない少女の大変すばらしい百合マンガ UnisonBell『きみととなりのヒロイン』

『きみととなりのヒロイン』

 大変すばらしい百合マンガだった。

『きみととなりのヒロイン』p.6

 主人公は自分がかわいいことを知っていて「ヒロイン」であることも自覚している少女、三枝。本当に際立った存在は打たれることがない代わりにみんなの横並びにもなれないということで、修学旅行の自由行動でも「横並び」のみんなからは疎外されてしまい、真逆の意味であぶれていた地味な三つ編みの少女、天羽(あまは)と班を組むことになる。ところが、三枝が行きたい場所を聞いても天羽は「三枝さんが行きたいところでいい」と言うだけで協力的ではない。そんな天羽の行動を見ているうちにあることに気づいた三枝は一計を案じ……という話。

 本作は非常に手の込んだマンガであり、また大変すばらしい百合マンガであった。どれぐらいすばらしいかというと、「ちょっとした工夫をしてみました」と作者があとがきで言及するまでそれに気づくことなく読み進めて「うひょー」という読後感を味わった後、その工夫を気にしながら読み返して「う、うひょー!?」という高揚感を新たに抱かせられるレベル。そしてそれとともに気づくのが、「ヒロイン」と「特別」にはいくつもの意味が込められているということだ。それは何度も読み返すうちにしみじみと体に染み透ってくる。ただでさえ上質な物語をただ上質なだけでは留まらせない。だから作者の描く百合マンガはおもしろい。

 大事なことなので何度も言うけれど、大変すばらしい百合マンガだった。

【出典】
・野中友 『きみととなりのヒロイン』 UnisonBell、2016/5/5発行
【ティア116】創作百合本「きみととなりのヒロイン」サンプル→本文サンプル
UnisonBell→作者のブログ

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