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2015/11/24

変わらない想いと変わってゆく気持ち 堂本裕貴『りぶねす』第3巻

『りぶねす』第3巻

 超絶シスコン兄貴とお兄ちゃん大好きな妹のベタ甘兄妹マンガである『りぶねす』。ただそれも3巻に至って何かが明確に変わってきたような感がある。

 『りぶねす』は1巻では兄であるテツが妹であるカスミをどれほど溺愛し、カスミがテツをどれだけ頼りにしているかを描いていた。2巻ではテツと兄妹の幼なじみでありテツに想いを寄せるアスカの関係に焦点を当てることで、テツがカスミを大事にしている理由とテツがアスカをどう思っているかが描かれていた。そして3巻ではテツとカスミという兄妹と、兄妹とアスカという幼なじみの、変わらない想いと変わってゆく気持ちが明確に描写されていた。

『りぶねす』第3巻p.69

 例えば13話から続く温泉話の締めくくりとなる16話でテツとカスミはデートスポットとして有名な教会へ行ってとある儀式をするが、その直後に小鳥が飛び立つ様子をカスミが眺めている場面がありカスミの「兄離れ」をほのめかしているように見える(p.69)。また、その1話前の15話でテツがアスカを教会ではなく夜祭りへ誘ったのは、テツがアスカに対して誠実でありたいと思うあまり教会へ誘えなかった代わりではないだろうか。
 というような感じで3巻は前2巻よりも一歩踏み込んだ形で兄妹と幼なじみの変化が語られている。カスミがテツの庇護の下を離れ、アスカの恋が成就する日は案外と近いのかもしれない。というか、幼なじみ大勝利してください、と幼なじみ至上主義の自分は思うのでした。

 それにしても1冊の単行本に温泉回と水着回があるとはお得だ……。

【出典】
・堂本裕貴 『りぶねす』第3巻、講談社<講談社コミックス>、2015/11/17発行
りぶねす | マガメガ→第1話試し読みあり
きまぐれや弐号店→作者のブログ

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