仕方ないしーなメモ

　まず表紙。パンツを脱ぎかけの女の子が描かれている。それだけでもうこのマンガが素晴らしい内容であることは保証されたようなもの。しかも女の子の目線は手前（読者）の方、女の子の正面に誰かへ向けられているが、これは女の子が誰かに辱められていることを意味している。さらに言うと女の子はパンツに手をかけて脱ぎかけてはいるが完全に脱いでいるわけではない。当のパンツも肝心な部分（作中に倣って「部位」と言った方がいいか）は見えていない。これがいい。エラい人にはわからないかもしれないが、脱ぎかけのパンツは見えない方がいい。実際に脱げているのかいないのかは神のみぞ知る。いわゆるシュレディンガーのパンツ。神はサイコロを振らないがパンツを脱ぎかけにはするのだ。もう何を言っているかわからなくなってきた。

　次に導入部。タイトルのある見開きページでは表紙の女の子、このマンガの主人公である上原さんが、憧れの存在である生徒会長が上原さんの体操服をmgmgしているところをばっちり目撃してしまう様子が描かれている。もう何この絵面。ヒドい、ヒドすぎる（褒め言葉）。このマンガではゾンビという使い古されたホラー素材が使われているが、そこは下ネタに定評のある作者、ただのゾンビを描くはずがない。このマンガにおけるゾンビは基本的に人間とは変わらない生き物（？）ではあるが、人間と異なる際立った特徴は人の服を食べるということだ。いやいやいやそれただの特殊性癖か異食症でしょ、と思うなかれ。なんと、ゾンビに着ている服を直接食べられた人間は92％の確率でゾンビになってしまうのだ。って、なんだよ92％って。あとの8％は助かるのかよ。ゾンビ菌（？）が感染してゾンビになること自体より、服を食べるという特殊性癖を持たざるを得ないことの方がイヤじゃないですか。しかも嗅覚が人間の数万倍になるんですよ。好きな子の匂いの付いた服を求めて体操服やスク水をこっそり盗んだりするようになるんですよ。ああもうただの変態じゃねーか。とんでもなくすばらしい設定だな。

　そんなこんなで憧れの生徒会長が自分の体操服をmgmgしているところを見てしまった上原さん。そりゃ泣くわ。ガン泣きですわ。しかも憧れの生徒会長は女の子なんですね。上原さんももちろん女の子。あれ、これって百合じゃん？　上原さんは生徒会長が好き。生徒会長は上原さんの匂いと体操服が好き。ああ、両想いじゃないか！　そうして両者の想いが通じ合い、思惑の一致を見たところで表紙で見たような展開へと至る。イイハナシダナー。
　なお、マンガの後半にはパンツのテイスティングから部位の解説にレシピまで載っている。これさえ読んでおけばいつ好きな子のパンツを食べる機会が訪れても困らないね！

　女の子の泣き顔とパンツと変態性癖と、3拍子揃ったホラー風味の百合マンガ。それがこの『ふくしょくじょし』だ。

【出典】
・水あさと　『ふくしょくじょし』　ミルメークオレンジ、2015/5/5発行
・ふくしょくじょし→表紙
・ふくしょくじょし　サンプル→ある意味見ない方がいい、本編のサンプル。
・ミルメークオレンジ→作者のサイト

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