仕方ないしーなメモ

　『デレマス超武闘伝』はそのタイトルが示すとおりシンデレラプロジェクトの面々が優勝をかけてバトルロイヤルを行うマンガである。

　格闘ゲームのパッケージのような表表紙とキャラ選択画面のような裏表紙にワクワク感を誘われて本を開くと、まず懐かしの天下一武道会の大舞台が姿を現す。そこに居並ぶのはシンデレラプロジェクトの個性豊かなアイドルたちだ。例えばこういうときでもドーナツを手放さないかな子。どんどんドーナツどーんと行こう。例えばセットの精巧な作りに感激するウサミンさん17歳。ドラ●ンボールを本放送で見ていた、ってあなた一体全体何歳なんですか。
　そこへ現れたプロデューサーが趣旨とルールを説明する。試合はバトルロイヤルで行うこと、最後まで残った勝者は事務所のゴリ推しを受けられること、衣装は破れやすいこと、そしてオールヌードになったら負けになること。って、このプロデューサーは何と素晴らしい、もといゲスいルールを設定するのだろう。しかも試合の様子をテレビで放映するなんて。そのテレビは何月何日何時何分から始まりますか。アニメ2期のどこかですか。
　そんな導入から始まるドキッ！　シンデレラだらけの武道会！　ポロリもあるよ！　は、事前に入れ知恵されていた杏ときらりの気合一閃によりいよいよ戦いの火蓋が切られるのだった。

　それにしてもシンデレラたちのかわいさと格好良さを同居させた演出といい、技の応酬に流れるような展開といい、本当に上手い。かわいいアイドルがドラ●ンボールばかりかキ●肉マンの必殺技まで繰り出すさまにはウサミンさんでなくてもかつて熱中した在りし日のジャンプマンガを思い出す。激闘の末に衣装を散らしたアイドルが艶やかな肢体を晒すさまには思わず快哉を叫びたくなる。そして、「※CG加工後をお送りしています」や「CO2」とちょこちょこ挟まれる小ネタは、読者のツッコミを止める暇も与えず、気づくとおしまいまで誘導されてしまっている。まったく恐ろしい。まったく面白い。いや、本当によくぞここまでシンデレラたちのかわいさと格好良さとギャグとちょいエロを同居させたなと思う。これは一杯やられた。
　そう言えば、最初はエントリーされていなかったメンバーが試合に出てくると言うとキ●肉マンの超人タッグ編や王位争奪戦を思い出す。キ●肉マンの持ち味だった何とも言えないハチャメチャっぷりもこのマンガはしっかり踏襲していて、もう見事というほかはない。
　発想と画力の勝利。『デレマス超武闘伝』はシンデレラプロジェクトの輝かしい歴史に新たな1ページを刻むことになる……かもしれない？

【出典】
・大塚志郎　『デレマス超武闘伝』　うみはん、2015/4/19発行
・４月１９日歌姫庭園新刊『デレマス超武闘伝』サンプル→本文サンプル
・大塚志郎の超不定期更新ブログ→作者のブログ

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