仕方ないしーなメモ

　『この美』4巻は宇佐美さんのライバルになるかもしれない転校生の伊万莉さんがやってくる話と宇佐美さんと内巻くんが2人きりで密室に閉じ込められる話、そして宇佐美さんが内巻くんと伊万莉さんの3人で宝探しをする話と、大別すると3つの話から成っている。2つ目の密室話は乙女の妄想が暴走するいつもどおりの宇佐美さんを堪能する話であるため、ここでは転校生話について書いてみたい。

　転校生として内巻くんのクラスへやってきた伊万莉さんは三次元が好きなふつーの男子中学生がこぞって色めき立つような美少女だ。その髪は二次元から抜け出してきたかのようなお団子付きツインテールで、その双丘はたわわに実り男女双方の羨望を集めることが疑いようもない。制服のスカートの裾からはペチコートが覗き、ニーソと織りなす絶対領域が健やかに伸びる太ももをこの上なく際立たせる。内巻くんを一瞥しただけで濃厚なオタクと見抜く慧眼があり、自身も内巻くんのオタトークに着いていけるだけでなく、痛々しい言動を素でできる重度の中二病を患っている。そしてカバーイラストに描かれているとおり宇佐美さんの監視下で内巻くんと当ててんのよ二人羽織読みをするあざとさと度胸を持ち、なによりおいそれと体得することのできない転校生補正の使い手である。
　勝ち目がない。まったく勝ち目がないよ。宇佐美さんが伊万莉さんに勝てるところが1つもないよ。いや、1つだけあった。宇佐美さんが伊万莉さんに唯一勝てるもの。それは内巻くんへの片想いの長さ。それだけは転校してきたばかりの伊万莉さんではどうやっても手に入れることはできない。あと妄想の逞しさ。片想いをこじらせつつある宇佐美さんは内巻くんとのあれやこれやを想像しては我々をニヤニヤのるつぼに放り込み、勝手な想像で内巻くんに一喜一憂しては我々を息も絶え絶えのニヤニヤマラソンに駆り立てる。メインヒロインの面目躍如。やはり宇佐美さんがいてこその『この美』。宇佐美さんの恋路的には3人で仲良く宝探ししている場合ではないと思うけれど、伊万莉さんという突然の転校生が宇佐美さんから内巻くんへの片想いにどのように作用するのか。宇佐美さんの片想いの行方からまったく目が離せない。

　ところで。

　百合展開！　そういうのもあるのか！

【出典】
・いみぎむる　『この美術部には問題がある！』第4巻、アスキー・メディアワークス<電撃コミックスNEXT>、2015/2/27発行
・この美術部には問題がある！ - pixivコミック→第1、2話と最新話が試し読みできる。
・MEARI→作者のサイト。

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