仕方ないしーなメモ

　作者のまいたけ氏は『燃焼系魔法少女やまとなめてお』などの商業単行本や『魔法少女まどか☆マギカ』などの二次創作同人誌に見られるように、ちょいエロにしてちょい百合、どころかかなりゆりんゆりんなマンガを描くことで常に注目している作家である。その氏が今回上梓した『全国高校！ゆるキャラ部』も期待に違わずちょいエロでちょい百合なマンガとなっている。

　全国各地でゆるキャラが群雄割拠する現代、少子化に悩む高校が生徒集めの目玉として着目したのはゆるキャラだった。今や5千を超える高校がゆるキャラを導入し、年に1回開かれる全国高校ゆるキャラ選手権で覇を競っている。
　そんな高校の1つ、愛金（まなかな）高校に通う野比内かなはごく普通の女子高生だったが、身長140cmと小柄だったことから愛金高校ゆるキャラ部の部長に目を付けられ、高校公式のゆるきゃらである「モゲネコ」の中の人をやることになる。かわいいはずのネコをモチーフにしていながらその残念なデザインは不気味さすら感じさせる「モゲネコ」。かなは、旧家の生まれで生徒会長でもある部長の神小路真琴と財閥の一人娘でゆるふわなお嬢様である副部長の三千院千歳というハイソサエティな先輩2人に囲まれて、口車に乗せられたり物で釣られたりセクハラを受けたりしながらもやがて「モゲネコ」の中の人という自分にアイデンティティを見出していく――。

　まいたけ節とでも言うべきか。ちょいエロにしてちょい百合、そしてコメディ。その匙加減はいつも絶妙だ。
　本作ものっけから気味の悪い着ぐるみに身を包んだ神小路部長がかなを追い回し、挙げ句の果てに押し倒してマウントポジションを取る様子から始まっている。そうして捕まえたかなを神小路部長と三千院先輩は最初は無理矢理に、やがて自発的に「モゲネコ」の中の人をやりたがるまでに調教するが、身ぐるみはいだり言葉責めしたり壁ドンしたりとやりたい放題の先輩2人には思わずガッツポーズを取りたくなる。一方のかなもかなでゆるキャラ好きという弱点を押さえられ、アイドルになれるだのセンターになれるだのとあの手この手で籠絡されていつの間にか「モゲネコ」を演じることにはまってゆくが、いつしか体を張って中の人を演じるようになるかなの姿にはいちいち笑いのツボを押される。絶妙なちょいエロの百合コメ。作者の手腕は今作でも遺憾なく発揮されている。

　1巻完結ということでやや読み足りない感はあるものの、カバー下と巻末に描き下ろしのおまけマンガがあり、本編に加えてさらなるちょいエロ百合コメ分を提供してくれる。特に第6話と並んでかなと三千院先輩の不適切な関係をほのめかす最後のおまけマンガがもう！　キマクリヤガリマシタワーという感じでどうしたらいいかわからない！
　ということで、ゆるキャラの中の人としてがんばる女子高生のちょいエロでちょい百合なコメディを読みたい向きの方は是非。

【出典】
・まいたけ　『全国高校！ゆるキャラ部』　白泉社<ジェッツコミックス>、2014/11/5発行
・全国高校！ ゆるキャラ部 | ヤングアニマルDensi→試し読みあり
・きのこなべ避難所→作者のブログ

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