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2014/05/06

同性の友だちが自分のことを好きだと気づいた女の子の話。 UnisonBell Lilac『Lalala Melody』

『Lalala Melody』

 ふとした言動から同性の友だちが自分のことを好きだと気づいたら……を好かれた側の女の子の視点から描いたマンガが『Lalala Melody』である。

 「相も変わらず、今日も思春期をこじらせている」(前作『フユヤスミハナガスミ』あとがきより)野中友氏はラブコメや百合などの創作同人や『ゆるゆり』などの二次創作をコンスタントに発表している作家だ。2、3年前のイベントで氏の作品を見かけ、その論理を重視した話運びや自分探し3級にも匹敵する青春をこじらせたような作風にいたく感銘を受けて以来、氏が描く物語には常に注目してきた。その氏がCOMITIA108新刊として百合レーベルである「UnisonBell Lilac」から発行したのがこの『Lalala Melody』である。

 どこかの共学校のどこにでもいるような仲良し女子4人組。その中の2人、ちっこいムードメーカーであるチユとモデル体型の夢見る乙女なコノカが『Lalala Melody』の主人公とヒロイン(?)だ。今日も今日とて4人で集まってマンガの原稿を作っているとき、チユはコノカのふとした言動からコノカがチユに好意を持っていることに気づいてしまう。そこからのチユの独り相撲、ムードメーカーのご乱心がこのマンガの見所となっている。
 絵に描いたようなキラキラした高校生活を過ごしている子だけがキラキラしているのではない。自分たちはくすんでいると思いながら日々を生きている子も傍目から見たら羨むほどのキラキラした青春時代を送っている。コノカからの好意にたとえ気づかなかったとしても、チユがコノカや他の2人とともに過ごした放課後は確かに輝いた時間となるに違いない。ただ、そういうことに気づくのはきっと高校を卒業して何年も経ってからなんだよな。

 もし時間を巻き戻せるなら中学生か高校生の思春期をこじらせる前に戻りたい。氏の作品はそんな願いを抱き続けるおっさんだけでなく、今まさに眩しいばかりの青春を謳歌する青少年にも読んで欲しい。

【出典】
・野中友 『Lalala Melody』 UnisonBell Lilac、2014/5/5発行
UnisonBell→サークルのサイト

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このもどかしさがたまらない! 「かわいい」がいっぱいの百合同人誌をまとめた珠玉の短編集。 野中友『ハミングガール』(2014/10/18追記)

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