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2014/03/03

超高校生級のフラグ建築士が妹探しの果てに吐いた最後の嘘。 天乃咲哉『Doubt!』第4巻

『Doubt!』第4巻

 妹探しにかこつけて出会った女の子に次々とフラグを立てまくる元引きこもりの高校生イチルが社会復帰を目指す物語『Doubt!』が4巻で完結を迎えた。はたしてイチルは無事人間社会へ溶け込むことができたのか!?(適当すぎるあおり)

 1巻で別居している父親から腹違いの妹を探すように依頼され妹候補となる3人の娘、飛鳥、真魚(まお)、彪(あや)と出会い、2巻、3巻では従妹のメグを巻き込みつつ3人との関係を深めたイチル。最終巻となる4巻では、イチルが前巻で姿を消した彪を追って長崎へと旅立ち、そこで謎の女性と巡り会い、一気に妹探しの真相へと辿り着くまでが描かれている。
 1巻から2巻、3巻と読み進んでいくと、当初は大の大人を手玉に取っていたイチルがその能力を発揮する場面が少なくなってきているような印象があった。それもそのはず、「できた子供」というレッテルを貼られ、大人顔負けのスキルで危ない仕事の片棒を担いできたイチルはもういない。イチルが長崎で出会った謎の女性に「そういうところが迷子の子供みたいだ…っていうんだよ」(p.80)と看過されたように、鎧われていたイチルの心は4人の少女たちと騒がしくも賑やかな日々を送るうちにすっかり剥げ落ち、ようやく彼は年相応になれたのだろう。
 妹探しラブコメという形で人と人のつながりとは何か、家族とは何かを描いた『Doubt!』。イチルが「妹」たちのために吐いた最後の嘘でもっとも騙したかった相手はおそらく他でもない自分自身だったのではないだろうか。

 ところで、飛鳥、真魚、彪と続いた表紙を4巻では長崎の女性に持って行かれたため一度も表紙に登場しなかったメグだけれど、最終話の最後の最後でおいしいところを持って行ったという意味では3人に負けていないから、まぁいいのか?

【出典】
・天乃咲哉 『Doubt!』第4巻、アスキー・メディアワークス<電撃コミックス>、2014/2/27発行
Doubt! | 月刊コミック電撃大王公式サイト→1話試し読みあり
「Doubt!(ダウト)」9.5話→水着でキャッキャうふふの9.5話(単行本未収録)
此花工房→作者のサイト

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