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2013/12/27

田舎の女子寮で共同生活を送る2人×2組のゆりんゆりんなゆるい日々。 マウンテンプクイチ『あまゆる。』第1巻

『あまゆる。』第1巻

 野球好きな女子高生の創作百合や『ゆるゆり』の二次創作などの同人誌で定評のある作者だけに、その商業初の単行本となる『あまゆる。』もゆりんゆりんな4コママンガとなっている。

 天然か計算か空気をあまり読まないハル、実家が豪農のど田舎出身でツンデレ風味なツインテールっ娘のアヤ、癖っ毛でちっこいマオ、力持ちでオトコマエなユウ。高校に上がり2人部屋×2の寮生活を始めた4人が町にくり出したり、山登りをしたり、初めてのメールを送ったり、田植えをしたり、肝試しをしたりする。気動車が走りちょっと歩けば畑の広がるのどかな田園地帯なれば大きな事件も起きず、淡々と日常を送る4人の姿がこのマンガでは描かれている。

 だが、4人の胸中は淡々とはほど遠い。ハルとアヤ、マオとユウはそれぞれ2人部屋で暮らし寝食を共にしているが、ハルとアヤは気づけば手を繋いでいたりにおいを嗅ぎ合ったりしているし、マオとユウは気づけば腕を組んでいたりお互いに寄りかかったりしている。ハルは知ってか知らずかアヤにスキンシップを求めてはアヤをドギマギさせ、マオとユウに至ってはもうこの2人デキているのではないかという落ち着きを見せる一方で間接チューを指摘されると赤くなって目を背けたりする。この2組の百合ップルの距離感が実にいい。
 極めつけは、特に明示されてはいないが舞台が九州のとある地方であり、アヤが時々方言を話すことだ。この方言が時々しか出ないところがいい。普段全く方言を話さないアヤが、親との電話や地元農家のおばちゃんと話をするときはついつい相手に合わせて方言が出てしまう。「実家が農家しちょるもんですけん」「心配せんでよかって言いよるのにね」。それら方言がアヤの口から飛び出すたびに、ハル、マオ、ユウの3人はそんなアヤを愛しく思っている。読者は方言混じりのアヤに萌えられるだけでなく、アヤを愛でるハル、マオ、ユウの3人にも同時に萌えられる。この構図をすばらしいと言わずにいられようか。

 たまたま同室になったことをきっかけに友達以上に親しい間柄となったハルとアヤ、マオとユウ。1巻で夏休みを終えた彼女たちがどのような秋冬を迎えるのか、続巻を待ちたい。

【出典】
・マウンテンプクイチ 『あまゆる。』第1巻、芳文社<まんがタイムKRコミックス>、2014/1/10発行
ぽんぽんお→作者のブログ

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