家に帰るまで待ちきれなくて電車の中でついうっかり本を開いてしまいニヤニヤが止められなかったけれど、『恋愛ラボ』第8巻を読んでいただけなんだからね!
以前もどこかで書いたように思うけれど、『恋愛ラボ』が読んだ後も長らく余韻を引くのはその構成にあると思う。『恋愛ラボ』は月刊誌1冊で1話分の物語が進行する形式の4コママンガだが、4コマ単体で見たときに起承転結があるのはもちろんのこと、1話で見たときも起承転結があり、単行本として見たときも冒頭で1つの大きなストーリーが始まって巻末までに終わりを迎えるという三重構造になっている。同じ著者が描いている『みそララ』も同様な構造が見られるため、意識してそのような構成にしているのだろう。ストーリーマンガとしては次巻に続くような引きを巻末に据えるのが常道だと思うが、『恋愛ラボ』はどの巻を読んでもそれ1冊でひとつのストーリーを楽しめるようになっている。そのことがひとつの物語を強く印象づけ、次巻ではどんな物語が繰り広げられるのかと想像する楽しみをかえって高めているのだと思う。8巻はまるごと体育祭の話だったが、特別編成となる8.5巻、9巻を飛ばして8巻の直接的な続きとなる10巻で描かれるだろう文化祭で、リコやマキたちはどんな(読者が)恥ずかしぬ姿を見せてくれるのだろうか。
8巻にはまた普段は脇役として生徒会の面々をさらに賑わせる新聞同好会員の1人にしてリコの友人であるミカを主人公にした非4コママンガが巻末に収められている。体育祭に纏わるエピソードでリコたちの暴走恋愛譚を披露して読者を散々床に転げ回させておきながら、ミカの話で一気にしんみりと黙らせる。さすがに生みの親だけあって作者はねこみみエノに勝るとも劣らないあざとさだった。
【出典】
・宮原るり 『恋愛ラボ』第8巻、芳文社<まんがタイムコミックス>、2013年
・創造主の原稿用紙に自由に描かれた感がある脇役たちの物語がいい! 『恋愛ラボ』第9巻→9巻の感想。(2013/9/9追記)
« 黒髪タレ目ちゃんとイマドキJK風ツリ目ちゃんの幼なじみ2人とボーイッシュな先生がトライアングル切ない! 『センチメンタルダスト』 | トップページ | 女性作家47人47色の大好きの形、『だって大好きなんだもん。』 »
「マンガ」カテゴリの記事
- 【アイうたBD発売アドカレ】タターン! AIやロボットが登場するマンガを紹介します♪ その2 #アイの歌声を聴かせて(2022.07.26)
- 【アイうたBD発売アドカレ】タターン! AIやロボットが登場するマンガを紹介します♪ その1 #アイの歌声を聴かせて(2022.07.21)
- 時に生々しく、時にフェティッシュに。アパートの一室で育まれた恋や禁断の恋などを描いた珠玉の短編集! 時計『AV女優とAV男優が同居する話。』(2016.10.11)
- 恋する乙女はめんどくさいの! 宇佐美さん安定の片想いに部長の幼なじみ登場と、美術部は今日も平和です。 いみぎむる『この美術部には問題がある!』第6巻(2016.06.25)
- 誰が敵で誰が味方なのか。誰が悪で誰が正義なのか。劇場版『[新編]叛逆の物語』を初めて見たときのドキワクを思い出させてくれる物語。 ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編]』第2巻(2016.06.16)
「感想」カテゴリの記事
- 【アイうた感想】劇場アニメ『アイの歌声を聴かせて』がどうして刺さったのかを5つの要素で考えてみた #アイの歌声を聴かせて(2022.02.28)
- 時に生々しく、時にフェティッシュに。アパートの一室で育まれた恋や禁断の恋などを描いた珠玉の短編集! 時計『AV女優とAV男優が同居する話。』(2016.10.11)
- 恋する乙女はめんどくさいの! 宇佐美さん安定の片想いに部長の幼なじみ登場と、美術部は今日も平和です。 いみぎむる『この美術部には問題がある!』第6巻(2016.06.25)
- 誰が敵で誰が味方なのか。誰が悪で誰が正義なのか。劇場版『[新編]叛逆の物語』を初めて見たときのドキワクを思い出させてくれる物語。 ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編]』第2巻(2016.06.16)
- IT系ブラック企業の社畜がこんなに可愛いわけがない。読むと「今日も一日がんばるぞい!」という気力がもりもり湧いてくる(かもしれない)、すべての働く人への応援マンガ! ビタワン、結うき。『いきのこれ! 社畜ちゃん』第1巻(2016.05.31)
「商業誌」カテゴリの記事
- 時に生々しく、時にフェティッシュに。アパートの一室で育まれた恋や禁断の恋などを描いた珠玉の短編集! 時計『AV女優とAV男優が同居する話。』(2016.10.11)
- 恋する乙女はめんどくさいの! 宇佐美さん安定の片想いに部長の幼なじみ登場と、美術部は今日も平和です。 いみぎむる『この美術部には問題がある!』第6巻(2016.06.25)
- 誰が敵で誰が味方なのか。誰が悪で誰が正義なのか。劇場版『[新編]叛逆の物語』を初めて見たときのドキワクを思い出させてくれる物語。 ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編]』第2巻(2016.06.16)
- IT系ブラック企業の社畜がこんなに可愛いわけがない。読むと「今日も一日がんばるぞい!」という気力がもりもり湧いてくる(かもしれない)、すべての働く人への応援マンガ! ビタワン、結うき。『いきのこれ! 社畜ちゃん』第1巻(2016.05.31)
- 現在進行形の青春と過去の青春が錯綜する高校生たちの物語 佐々木ミノル『中卒労働者(ワーカー)から始める高校生活』第6巻(2016.06.01)
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 家に帰るまで待ちきれなくて電車の中でついうっかり本を開いてしまいニヤニヤが止められなかったけれど、『恋愛ラボ』第8巻を読んでいただけなんだからね!:
« 黒髪タレ目ちゃんとイマドキJK風ツリ目ちゃんの幼なじみ2人とボーイッシュな先生がトライアングル切ない! 『センチメンタルダスト』 | トップページ | 女性作家47人47色の大好きの形、『だって大好きなんだもん。』 »
コメント