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2013/04/15

俺たちと一緒に妖精の国へ来て独裁者になってよ! 『少女政府 ベルガモット・ドミニオンズ』第1巻

『少女政府 ベルガモット・ドミニオンズ』第1巻

 妖精たちに見込まれ、妖精の国へとさらわれてきた少女たちが独裁者となり妖精の国を統べる話。

 なりゆきでプレジデンテ(大統領)になったななこは日本から。同時期にさらわれて以来ななこの相方として官房長官を務めるソフィアはスコットランドから。そうして世界の様々な国からななこと同じように妖精たちの住む島国「ベルガモット」へと集められた全部で11人の少女たちが妖精に請われて国を作ろうとする。適材適所(?)の役目を負った彼女たちはいつか妖精の国が発展して自分たちの国へ帰れる日を夢見ながら、ベルガモットをよしとしない、妖精たちの祖国であり宿敵でもある「アヴァロン」の妖精たちと戦い、時に経済の混乱に立ち向かい、時に反乱分子の鎮圧に奮闘する。ななこたちが国作りの参考にしているのが日本の中学生が使う公民の教科書であるあたりが、このマンガを検定未済の公民の教科書のようにしている由縁だろうか。

 また、このマンガを特徴付けているのは、ななこたちがアヴァロンと相対するとき魔法少女よろしく変身し、妖精の力を駆使して戦うことだろう。お約束の変身シーンはすっぽんぽん、ななこたちが持つ武器も巨大な缶切りだったり糸切りばさみだったりとどこかメルヘンチックな印象があるが、そこはさすが『シリウスの痕』などのアクションものを描いてきた作者だけあって戦闘シーンには魅せられるものがある。

 ななこたちが国産みを終えて文字通り妖精たちの間に語り継がれる神様になり、自分たちの国へ帰るという願いを成就するのか。ななこたちの祈りを叶えるのはインキュベーターでも妖精でもなく、他でもないななこたち自身だ。

 ところで、ソフィアだけはどうして官房長官という役割なのかという理由というかこじつけが作中では描かれていなかったように思うけれど、ソフィアが大統領であるななこを公私ともに支える女房役だからでは、と思っている。ソフィアは私生活でもななこの女房役。ここポイントな。次のテストに出るよ。

【出典】
・高田慎一郎 『少女政府 ベルガモット・ドミニオンズ』第1巻、ほるぷ出版<メテオCOMICS>、2013年

【関連記事】
こんな教科書がほしかった! 徐々に国らしくなってゆく少女たちによる妖精の国の物語。 高田慎一郎『少女政府 ベルガモット・ドミニオンズ』第2巻、第3巻(2014/2/11追記)

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