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2013/03/19

百合マンガ界に現れた新星、『少女惑星』

『少女惑星』

 カシマミ先生待望の新刊『少女惑星』は思っていたとおりの上質な百合マンガだった。

 前著『宙のまにまに』では、それが表舞台に出ることはほとんどなかったが、小夜先輩の美星に対する百合恋があった。誰が何と言おうと、あった。たとえ公式が否定しようと、確かにあった。美人で性格もよいが浮いた噂は全くない。何かと暴走する美星の親友兼お目付役として小中高とずっと同じクラスをキープする。でも美星が朔ちゃんと再会してからは何かと朔ちゃんをけしかけて美星とくっつけようとする。小夜先輩が計算高いのは、美星が絶大なる信頼を信愛を寄せ、小夜自身憎からず思っている朔という異性を美星に当てることで、美星にとっての同性の一番は小夜で、決して壊れない関係となるように仕向けたことだ。美星の恋愛対象はヘテロなのでそれを同性である小夜に向けることは難しい。そこで、小夜は自分の代理として朔を立て、自身は美星の親友という位置をキープすることを選んだ。高校の天文部という文化系サークルののほほんとしたお気楽な活動を描いた本編の陰で、このような切ない百合恋物語が語られていた(※)とは誰が思うだろうか。 ※妄想です。

 いわゆる一般向けのマンガでもさりげなく百合を描いていた(※)著者がガチ百合マンガを描いたらどうなるか。はたしてその1つの答えが百合マンガ界に輝く新星としてここに現れた『少女惑星』である。 ※妄想です。

 『少女惑星』に収録された4編の物語はそれぞれ春夏秋冬のテーマを持ち、登場人物は水金地火木土天海の名を冠している。大自然と宇宙に親しむ、何とも著者らしい試みだと思う。ちなみに、昭和生まれの自分は「水金地火木土天海冥」で覚えているため、冥子ちゃんが登場しないことに一抹の物足りなさを感じる。
 で、その4編は必ずしも想いが遂げられる甘い話ばかりではなく、悲恋もあるし、新たな一歩を踏み出すためのお別れの話もある。自分などはカシマミ先生が描いた百合マンガというだけでもおなかいっぱいなのに、こんなにバリエーション豊かな物語を並べられてはどこから食べようか目移りしてしまいそうである。実際にしたし。全て食べた後の感想としては、夏の話もいいけれど、春の話が一番好きですね。あーちゃんのその後の話は是非読んでみたい。きっとあーなってこーなってそーなるはず!

 かようにカシマミ先生待望の新刊は思っていたとおりの上質な百合マンガだった。大事なことなので2回言いました。ところで、天文繋がりで「百合マンガ界に現れた新星」と喩えてみたものの、『少女惑星』という題名には微妙にそぐわないことにここまで書いてから気がついた。

#『少女惑星』って音節の切るところを間違えると何ともあれ、というのは『猿の惑星』で散々以下略。

【出典】
・柏原麻実 『少女惑星』 一迅社<百合姫コミックス>、2013年

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