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2015/03/08

気弱で後ろ向きな自分を肯定するゆとりの強さと売れっ子先輩ラノベ作家と現役女子高生ラノベ作家をライバル視するゆとりの強かさ。『ゆとりノベライズ』の最大の面白さはそこにある。 渡辺伊織『ゆとりノベライズ』第2巻

『ゆとりノベライズ』第2巻

 1巻ではかけだしのラノベ作家だった都ゆとり。その続きとなる2巻ではweb小説の人気を引っ提げて登場した現役女子高生ラノベ作家・桜木ミツヒ(17)に先輩と呼ばれたり、少年向けだけでなく少女向けのレーベルからも本を出すようになったりと、ゆとりが自らの作家としての持ち味に気づき始め、「後ろ向きのまま前進」していく様子が描かれている。

 『ゆとりノベライズ』の面白さは、売れっ子先輩ラノベ作家の里見嵐を始めとした周りの人の言葉やゆとり自身の気づきを発露として、ゆとりが作家として成長する姿が丹念に描かれているところにある。1巻では「それに比べて自分は何てダメなんだろう」と自分と他人を相対的に評価してその鬱屈をバネにしていたのが、2巻では里見やミツヒをライバル視するなど必ずしも負の感情によるものではなくなっていたりする。また、気弱で後ろ向きな自分を逆に肯定し、自分自身を絶対評価することで「都ゆとり」という作家の長所を探ったりもする。ゆとりの成長に伴ってその様子もその仕方も変わっていくが、「ゆとりの成長」と簡単な一言では片付けられないほどの面白さがこの物語にはある。

 もう1つこのマンガの面白さを挙げるとすれば、心に染み入る言葉が多いことだろう。それは2巻であれば例えば1巻にも登場した言葉の活用形である「いまはウソでも大切なのはホントになるまでやることだ」(p.43)やラノベの小説とイラストの関係を喩えた台詞(p.74。どういう言葉かは話の展開とともに実際に見て確かめて欲しいのでここでは書かない)が挙げられる。『ゆとりノベライズ』が4コママンガの形態をしながらもどことなくラノベのように感じるのは、主人公がラノベ作家だったり単行本のカバーがラノベ風だったりするからだけではないと思う。

 2巻はゆとりがあることに着想を得て筆を執るところで終わっている。それが果たしてゆとりにとって作家として一皮も二皮も剥ける契機になるのか。また、ゆとりはいつか現役女子高生ラノベ作家にヒロインの座を追われてしまうのか。作中で密かに進むゆとり萌え化計画の行方も含め、今後の展開からますます目が離せない。

『ゆとりノベライズ』2巻p.37

 『ゆとりノベライズ』2巻p.37より乙女チックゆとり先生。イイヨーイイヨー。

【出典】
・渡辺伊織 『ゆとりノベライズ』第2巻、芳文社<まんがタイムコミックス>、2015/3/22発行
“仕事”としてのライトノベル作家物語。満を持しての2カ月連続刊行予定! | 『ゆとりノベライズ』渡辺 伊織→試し読みあり
いつの間にか深く夢の中へ→作者のブログ

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