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2014/12/15

寄り添い合うユウの夢とあせびの夢、四つ巴の様相を呈する物語 梅木泰祐『あせびと空世界の冒険者』第2巻

『あせびと空世界の冒険者』第2巻

 空世界を闊歩する異形の怪物「竜魚」と戦う力を持った衛士の青年ユウと古代超文明の遺したアンドロイド少女あせびの冒険活劇である『あせびと空世界の冒険者』。その2巻ではユウとあせびの新しい仲間、ユウに立ちはだかるライバル、ユウの家族と過去と夢、そしてあせびの動揺が描かれている。

 子どもの頃は王道の冒険活劇によく親しんでいた。マンガよりはライトノベルやゲームが多かったが、剣と魔法のファンタジー世界を描いた冒険物語は平凡な実生活を乗り切るための糧となり、仲間と旅する冒険者たちの姿は憧れを抱かせ、いつか自分も異世界へ渡り世界を股にかけた冒険に出ることを夢見させたものである。
 そんな黒歴史チックな話はさておき、『あせびと空世界の冒険者』はその頃好きだった冒険物語を彷彿とさせる。年齢とともに興味の対象が広く薄くなったことに合わせてだんだん空想世界の冒険に触れる機会も少なくなったが、あの頃読んだり遊んだりした冒険物語と同じ空気を『あせび』は感じさせる。『あせび』1巻を読んだときに「王道と言えば王道」という感想を書いたのは、『あせび』という新しいマンガの中に悪く言えば古臭さ、良く言えば安心感を見出したからだ。

 さて、『あせび』2巻で、ユウとあせびは“空の賢人”の異名を持つハイトとつくしという船乗りの親娘と同行し、“暴風”のグラムという目的を同じくするが志を異にする者と対峙することになる。ユウとあせびの力になる仲間ができること、ユウとあせびの障壁となり恐らくユウにとってのライバルになるであろう男の登場は、ある意味お約束だ。
 ただ、構図はそんなに単純ではない。古代の超文明、ウォルテシアを目指す人間がそれぞれの夢を抱きそれぞれの信念に従って空世界を旅するように、ウォルテシア側も一枚岩ではないことが2巻では明らかになる。「彼女に人生を与えて欲しい」(1巻p.4)と願いあせびを人間に託したウォルテシア人がいる一方で、全く逆の動きをする者がいる。それがどういうことなのか。それを知るには3巻以降の登場を待つしかないが、それがあせびの夢を奪うことがないようにと願わずにはいられない

 空を巡る冒険のワクワク感、毎回続きが気になる引きをする話のドキドキ感。各々の使命を抱えた対立者の登場やユウと仲間の苦戦にハラハラし、ユウがあせびという大切な相方とともにする旅の足跡に一喜一憂する。古くて新しく、新しくて古い、なんて書くと大変失礼な感じもするけれど、その取っつきやすさ、親しみやすさこそが『あせび』の大きな魅力だと思う。

愛しの彼との妄想逞しいあせびさん 胸の大きさに拘るあせびさん

 もちろん愛しの彼との妄想逞しいアンドロイド少女あせびさんの胸の大きさに拘る一面も大変大きな魅力です。あと、おさげも。

【出典】
・梅木泰祐 『あせびと空世界の冒険者』第2巻、徳間書店<RYU COMICS>、2015/1/1発行
あせびと空世界の冒険者|月刊COMICリュウ→試し読み
雲形発着場→作者のブログ

【関連記事】
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ルーツを探し求める青年とプライドを見失った壮年。それぞれの夢を追う冒険者たちが辿り着く先は。 梅木泰祐『あせびと空世界の冒険者』第3巻(2015/6/14追記)

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