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2014/11/11

悲しみと憎しみの連鎖は止まらず、復讐が復讐を招く。そのさなか、死と背中合わせの少女が抱いた恋心の行方は。 板倉梓『ガール メイ キル』第3巻

『ガール メイ キル』第3巻

 悲しみと憎しみの連鎖は止まらず、復讐が復讐を招く。そのさなか、死と背中合わせの少女が抱いた恋心に青年はどう応えるのか。

 2巻の終盤で殺されたチャンの敵を討つために桂が単独行動を始めるところから話は始まる。チャンを殺し、桂が追う殺し屋の少年ははたして芽衣が探し続ける弟なのか。一方で、身を隠すための滞在先で出会った年の近い少女・鈴子との会話を通じて芽衣はアキへの気持ちを明確に自覚する。
 次巻での完結へ向けて死と恋が加速を始める。『ガール メイ キル』3巻に描かれているのはそんな物語だ。

 殺しが日常茶飯事である中華街のマフィアにとって、カタギの人間との交流を持つ、後悔の念に囚われる、感傷に浸る、といった普通の人がするような行動は弱点を持つようなものだそうだ。作中の言葉を借りれば「フツーの奴なんかと関わるから弱くなる」(p.137)。そういう意味であの男の死は避けようのない出来事だったのだろう。しかし、本当にそうだろうか。
 1巻で芽衣は「あたし死にたいわけじゃないよ」(1巻p.69)と言った。その言葉は曲解すれば積極的に生きたいわけではないというふうにも聞こえる。死にたいわけではないけれど、下手を踏んで誰かに殺されて死ぬまでは生きよう。そんな後ろ向きなニュアンスを感じた。だが、アキと出会って芽衣は変わった。自分のことを怖がったことはあっても、自分のことを誰よりも心配してくれるアキ。一度は町を出て行こうとしたのに、翻意してまで自分のことを選んでくれたアキ。何があっても自分から離れていかないアキ。芽衣は今、明らかに生きたがっている。鈴子の下から髪を結うのももどかしいかのようにロングヘアの姿でアキの前に現れた芽衣。生き方を決定づけた出来事のトラウマに抗ってまでアキの手を取る芽衣。自らの敏感なところをさらけ出してアキの体温を求める芽衣。それを弱さというのなら、芽衣は今まさに少女から大人の女性になろうとしているのだろう。

 前述のとおり、巻末のコメントではアキと芽衣の物語が次の4巻で完結することが予告されている。そこに描かれる結末が望んだ未来になるのか、決して望みたくはなかった終焉を迎えるのか。2人の行く末を、目を逸らすことなく最後まで見届けたい。

【出典】
・板倉梓 『ガール メイ キル』第3巻、双葉社<アクションコミックス(月刊アクション)>、2014/11/10発行
WATTS TOWER→作者のサイト

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