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2014/10/08

中学生同士の初めてのお付き合い、初めての劣等感、初めての嫉妬、初めてのムッツリスケベ。そんな初めて尽くしの恋模様に悶え死にせずにはいられない! 月子『つるつるとザラザラの間』第3巻

『つるつるとザラザラの間』第3巻

 高屋敷、お前もか。環(たまき)とさやに続いて環の友人・高屋敷とさやの姉・葵が告白劇や捨てカメ問題を通じて急接近! 環のもう1人の友人・庄司にもなにやらモテ期がやって来たようで、『つるつるとザラザラの間』3巻は全方位から初々しい恋の台風が迫り来る悶え死に不可避の1冊となっている。

 10月8日の昼のこと、本屋から出てきた人が本をパラパラとめくりながらなにやらニヤニヤとしているのを見かけた。その本をどれだけ楽しみにしていたのかわからないが、いかにも家に帰って読むのが待ちきれないといった風情で、時々押し殺したようにぐふぐふという奇妙な笑い声を立てながら顔は終始にやけている。どんなにすごいニヤリング本を読んでいるのだろうと興味を惹かれ、その表紙を覗き見てみると……ア! 『つるつるとザラザラの間』3巻ッテ書イテアル!(棒読み)
 またその日の夜のこと、23時を過ぎてもそれなりに乗客のいる電車の中、時折謎のアクションを見せながら本を読んでいる人を見かけた。ニヤニヤとした笑みを浮かべたと思うとそのまま本に突っ伏し、まるで空中に布団か壁でもあるかのようにぽすぽすと殴るような仕草をする。なんだあの変な奴はと思いながらも読んでいる壁殴り本に興味を惹かれ、その表紙を覗き見てみると……ア! 『つるつるとザラザラの間』3巻ッテ書イテアル!(棒読み)

 まあ、両方とも自分なんですけど。そんなどうでもいい文章をつらつらと書き連ねているのは、『つるつるとザラザラの間』3巻がどれだけ人にくすぐったい思いをさせ、どれだけ人をのたうち回らせ、どれだけ人がやり場のない悶絶を溜め込んだかを言いたかったからだ。もうね、環がさやのいつもは隠れて見えないあそこを触りたがったり、さやが環のほっぺをふにふにしたり、という初々しい中学生カップルの一挙手一投足にはいちいち壁を殴りたくなる衝動に駆られるし! 自分に対する自信のなさに劣等感を抱いた環がさやと痴話げんかになるのも、環がさやに言いよる男の子に嫉妬するのも、いかにも初めてのお付き合いという感じがして年甲斐もなく両手をぶんぶん振り回したくなるし! もうね! もうね! もう! もう! くそう! くそう! と、感嘆符を連発するレベルで悶絶不可避なのである。
 さらに加えて今巻では高屋敷と葵の2人が2巻にも増して仲を深めている。それも男女の仲を。もちろん葵が正式に(?)恋する相手は高屋敷のイケメン兄貴であり、高屋敷は葵にとって想い人の弟で、体のよい相談相手で、サシでトランプやTVゲームに付き合ってくれる遊び相手でしかない。だがしかし。高屋敷の前では葵はアホで残念な素の姿を見せてくれる(恋愛対象として意識されていないだけとも)。高屋敷にとって葵は表も裏もかわいいところもかわいくないところもアホなところも弱音を吐いているところもすべて受け入れられる存在である(「恋によって目が退化しておられる…」(p.101)とは高屋敷が別の子を評して言った言葉だが)。今はわずかに逸れているベクトルかもしれないが、一度ぴったりと向き合ってしまったら、高校生の兄を持つ男子中学生とお年頃の女子高生、ひょっとすると進展は環&さやの純・中学生カップルより早いかもしれない。ね? ね?

 相手がどうして自分を好きかわからないと悩み、相手の過去を知る存在に嫉妬し、「かわいくて触りたい」という劣情を抱き、嬉しいことを一緒に喜びたいと望む。初めてのお付き合いでお互いに初めての感情を抱き、そのことに驚き、悩む。変わっていく感情と姿に、深まってゆく想いに驚き、悩む。悩め悩め。いっぱい悩むといい。大の大人をその初々しさで悶絶させた罰だ。存分に悩んで悩み抜いて、そうして得た喜びを分かち合うといい。環とさやの恋は今日も少しずつ進み、その分だけ2人は大人に近づいている。
 ついでに言っておくと。最初の話でこれでもかというほど読者を悶えさせ、そのクオリティを保ちつつ中盤の話を継ぎ、そのくすぐったさに慣れてきたところへ最後の話でメガトン級の悶絶を与える。しかも、は虫類や両生類のうんちくや比喩を巧みに取り入れた形で。そんな1巻、2巻で見られたスタイルは3巻でも健在だった。なんだよこれ! なんだよこれ! とっとと爆発しろよ! 末永く暮らして200年後に爆発しろよ! もう! もう! むきー!

【出典】
・月子 『つるつるとザラザラの間』第3巻、講談社<アフタヌーンKC>、2014/10/7発行
つるつるとザラザラの間 / 月子 - アフタヌーン公式サイト - モアイ→1話試し読みあり
彼女とカメラと月子通信→作者のブログ

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