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2013/12/31

君の鉄の庭で過ぎ行く時間と静かに寄り添う廃車両たちは現役時代に負けないぐらいカッコいい。 ムサシノ工務店『Re+Train(リ・トレイン)』

『Re+Train(リ・トレイン)』

 サークル「ムサシノ工務店」の『Re+Train』は、来る日も来る日も鉄路を往復して乗客や荷物を運ぶという役目を退き、観光地で、あるいは野ざらしで第二の人生(?)を送る廃車両を写真と文章で綴った写真集だ。

 観光地や温泉街へ行くとその出入口となる駅や道の駅に置かれていることのある廃車両。なぜか見かけるのは銀河鉄道と聞いて想像するような、「D○○」といった機関車が多い気がするが、この本はそんないわゆる汽車ぽっぽだけでなく、普通の機関車や客車など、かつて運搬業を生業とし、退役した今では日本の各地でその風景に溶け込んでいる廃車両の姿を収めている。
 作者が全国を回って撮った廃車両はあるものは今でもきちんと整えられ、あるものは雨に洗われ風化し赤茶けた車体を晒している。ただいずれにしても、それらに対しファインダーを通して作者が向ける眼差しはどこまでも優しく、添えられた文章には長年の労働に対する労りを感じさせる。第二の人生を意外な形で送っているタンク車へは現役で働くその姿にエールを送り、奇しくも作者が訪れる1週間前に解体されてしまった車両へはその残骸に名残を惜しむことはするがそれも運命と受け入れる。廃車両のあるがままを捉え、作者が廃車両と巡り会ったときの一喜一憂がひしひしと伝わってくる。これはそんな写真集だ。

 ところで、最近は滅びの美学とでもいうのか廃墟に惹かれる人が多く、廃墟の写真集が人気を集めたり、廃墟巡りがブームになっていたりするらしい。そういった果て行くものに哀愁を抱くのは何も現実の世界だけに限ったことではない。廃車両を例として言えば、マンガに登場するものだけでも、『ARIA』(天野こずえ/マッグガーデン)では主人公がピクニックに訪れた先で廃線路に残された車両を見つける場面があるし(3巻12話)、『ひとりぼっちの地球侵略』(小川麻衣子/小学館)ではヒロインは廃車両を住居に改造して住んでいる(これはバスかもしれない)。廃墟や廃車両に並々ならぬ感情を込める人々は次元を問わず存在しているといっていいだろう。

『Re+Train(リ・トレイン)』裏表紙

 裏表紙より。経てきた年月をむき出しにした機関車が山と畑とサツキに囲まれて何をするでもなく佇んでいるのが、月並みな言葉だけれどとてもいい。

【出典】
・一幡公平 『Re+Train(リ・トレイン)』 ムサシノ工務店、2013/12/31発行
イチマンネット!のブログ→作者のブログ
廃墟と辺境の旅写真サイト「ムサシノ工務店」→サークルのサイト

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