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2013/11/10

なにげない日常が愛おしい。 天野こずえ『あまんちゅ』第7巻

『あまんちゅ』第7巻

 『あまんちゅ』第7巻の絵柄が限定版と通常版で違うなら両方買うしかないじゃない! あなたも! 私も!

 秋を迎えた『あまんちゅ』の第7巻は「日常、ときどきダイビング。」のコピーに相応しく、紅葉の話、カフェ、ハロウィン、お祭りの話とぴかりやてこの日常を綴る一方で、自分たちで用意したお金で買った新しいドライスーツを着ての進水式(?)の様子を描いている。ドライスーツお披露目話では並み居る熟練者の間で本人の意気込みに反していつもどおり初心者的に振る舞ったてこがカフェの話では珍しく、というよりはおそらく物語が始まって以来始めて自信に満ちた表情を見せたり、お祭りの話ではいつも飄々としている姉ちゃん先輩がこれまた珍しい反応を示したりと、7巻はいつものメンバーの意外な側面が見られる1冊でもある。

 それでも7巻でもっとも作者の本領が発揮されていると思った話はいちばん最初の紅葉の話だった。『桜紅葉』と銘打たれたこの話は、6巻から登場した小学生のこころちゃんが紅葉した並木道でぴかりと会って会話する、というそれだけを描いている。逆に言うと、これは作者がただそれだけと思えるような出来事を余韻を残す物語として描ける希有な能力の持ち主であることを表している。前作『AQUA』/『ARIA』でもあらすじが一言で終わってしまうような、なんてことのない日常を描いた話がいくつもあったが、『あまんちゅ』でもてこたちのなにげない日常をとても愛おしく感じられる話が読める。これ以上の幸せがあるだろうか。

 と思っていたところ、『あまんちゅ』にはどうやらそれ以上を望めるような様子がハロウィンの話で窺えた。こころというぴかりを巡るライバルを得たてこを、なにやら気づいている風の姉ちゃん先輩と一緒になって見守っていきたい。

【出典】
・天野こずえ 『あまんちゅ』第7巻、マッグガーデン<BLADE COMICS>、2013/11/24発行
弟くん先輩のMOTTAINAI精神はノーベル賞級? 前夜祭のセルフオマージュも胸熱な『あまんちゅ』第6巻→第6巻の感想

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