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2013/11/28

いつかどこかの時間軸、そこにはちっちゃいながらも対照的な生き方をする2人のほむらがいた。 九十九『ぽむ☆マギ』第1巻&linco『みたきはら幼稚園まほう組』第1巻

『ぽむ☆マギ』第1巻と『みたきはら幼稚園まほう組』第1巻

 同じ日に第1巻が発売された『ぽむ☆マギ』と『みたきはら幼稚園まほう組』はともにアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』を原作とするマンガで、いずれもいつかどこかの時間軸でなぜか小さくなってしまったほむらを主人公にした公式的な二次創作だ。両者は小さなほむらがいるという共通点がありながらもその内容は好対照になっている。

 『ぽむ☆マギ』の舞台は原作と同じくほむらが何周かの時間遡行を行った世界で、まどかとさやかは魔法少女の契約を行っていないがマミは先輩魔法少女として活躍し杏子も隣町で魔法少女を営んでいるという、原作に近い導入から始まっている。ただし、なぜかほむらはちっちゃくなってしまっていて、しかも元々少なかった口数がさらに少なくなって完全な無口となり、筆談で会話をするようになっている。ほむらが小さいことを除けば年齢や人間関係などの設定は原作と変わらない。
 『ぽむ☆マギ』ではその小さいほむらが、まどかとイチャイチャするさやかに嫉妬したり、まどかをビデオで撮影しようとしたりと二次創作では定番の変態的なほむほむを演じ、その脇を安定のぼっちマミさんや映画版ジャイ○ンのような性格の杏子が固めている。なぜほむらが小さくなってしまったのか作中では語られていないが、基本的にギャグ路線の日常話で構成されるこのマンガにおいてほむらが小さいことが話に広がりをもたらしていることはもちろん、ときにためらうことなく披露されるブラックなネタを小さなほむらがほどよく彩っているように思える。

 一方、『みたきはら幼稚園まほう組』はそのタイトルが示すとおり何度目かの時間遡行の果てにたどり着いた世界がなぜか幼稚園時代だったというところから始まっている。『まほう組』の世界ではほむら、まどか、さやか、杏子が園児になっていて、マミは先生、キュゥべえはどういうわけか園長先生として登場する。また、その世界ではほむらだけが魔法少女である(少なくとも本編では。カバー下を見るともう1人魔法少女(?)がいるようだけれど)。
 なにしろ年端のいかない幼稚園児なので、元気いっぱいのさやかややんちゃな杏子たちが画面狭しと駆け回る姿は見ていて微笑ましい。それでもほむらがまどかの想いに触れて「こんなに小さいけどやっぱりまどかなんだ」と実感しているとおり、まどかも、さやかも、杏子も、そしてほむらも、小さいなりに確かにあの子たちなんだという特徴を醸し出している。彼女たちが将来原作で描かれるような(魔法)少女に成長するのだろうと思うと不思議な感慨に包まれる。

 『ぽむ☆マギ』も『みたきはら幼稚園まほう組』も、まどかが願いを叶え魔女のいない世界に改変するまでに存在したであろう、原作では語られることのなかったわりかしゆったりとした時間の流れる世界を描いている。いずれもほむらがみつあみでなく眼鏡を掛けていないことから、最愛の人を救うためにその手にかけ、そもそも魔法少女になることがないようにと1人で戦うことを決心した後にほむらが巡った世界だ。まどかの残酷な運命に抗うため孤独な戦いに身を投じたほむらにふいに訪れた安寧の時間。ほむらにとってそれがどんなに幸せな「今」であるか、原作や新編を何度も見た者であれば想像に難くないだろう。
 奇しくも小さなほむらを主軸にしながらもまったく異なる世界観を作り出し、けれども志向するところは同じくする『ぽむ☆マギ』と『みたきはら幼稚園まほう組』。両作品が劇まど新編の公開から1ヶ月というこの時期に登場したことの意味は小さくはない。

 などという堅苦しいことは考えずに読んだ方が『ぽむ☆マギ』も『みたきはら幼稚園まほう組』もより楽しめると思う。

【出典】
・著・九十九、原作・Magica Quartet 『ぽむ☆マギ』第1巻、芳文社<まんがタイムKRコミックス>、2013/12/12発行
・著・linco、原作・Magica Quartet 『みたきはら幼稚園まほう組』第1巻、芳文社<まんがタイムKRコミックス>、2013/12/12発行
arinco→『みたきはら幼稚園まほう組』作者のサイト。
SoaR→『ぽむ☆マギ』作者のサイト。

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